石巻仮設住宅8000世帯料金適正化

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◆被災地における仮説住宅のLPガスの実態とは?

LPガスは、公共性の高い国民生活に不可欠で重要な家庭エネルギーとして、LPガス販売事業者は、その公共性の高い事業であることを自覚して透明性のある料金で営業すべきだと、10年以上前から監督官庁の指導がされていました。

ところが、その環境に優れたLPガスを広く普及させる立場にある大手LP販売業者が、「企業としての社会的責任」を自覚することなく、それが被災者を困らせる深刻な実態になっていた現状を問題視して、協会では全国の消費者に重要事例案件としてその詳細を公開します。

当協会には、仮設住宅にお住まいの被災者からガス料金が高いとの苦情の相談が数多く寄せられておりました。そのなかで、H24.7月より、宮城県石巻市「石巻仮設住宅自治連合推進会」さんと協働で、約一年間にわたり値下げのアドバイス・交渉を行ってまいりました。

H24.8月、自治連合推進会では約8.000世帯の仮設住宅を管轄しているなか、業者ごとの料金調査を行った結果は以下の通りでした。

  • A社   基本料金1.000円 従量料金@866円 (大手メーカーI社)
  • B社   基本料金1.000円 従量料金@615円
  • C社   基本料金1.000円 従量料金@518円・・・他、業者ごとにまちまちでした。

この異常に高い料金設定を踏まえ、協会では自治連合推進会に対し、ガス事業者との交渉次第では全世帯値下げが可能との見解を申し上げました。 値下げ交渉の根拠としては以下の理由になります。

① 仮設住宅建設に伴う、LPガスの各種配管工事や消費設備(コンロ・給湯器)設置費用は値引きなしの売価で、国費から一括現金で業者側に支払われており、それらの費用をガス料金に転嫁することは出来ないはず。

② 石巻管内の仮設住宅数千世帯に供給する地元大手ガスメーカーについては、従量料金が@800円を超える異常に高い料金設定で請求していたが、他社との同一条件下での工事・供給条件にも関わらず、その高額設定の根拠が不明確である。一方で、同社から仕入れたガスを販売している地元業者の方が安かったという理不尽なケースもあった。

③ 競争環境が確立している首都圏では、同じ条件下で各企業の努力により@350~380円で供給体制を敷いている現状を考えれば、ガス業者側に有利な契約(団地によっては供給設備も県側に買い取らせている)にも関わらず被災者対象にした請求料金としては理解しがたい高額な設定と言える。

④ 又、ガス配送・保安・検針コストについても、仮設住宅という集約された場所に一括して供給するために、コスト軽減化は可能であり、あえて高い料金設定にされる理由は全くないと考えられる。中には、@800円を超えるような単価があり、平均世帯(4人)冬季で一か月35.000円以上のガス代になってしまっている。

以上の要件・理由をもって、H24年7月~同年10月にわたり、自治連合推進会からLPガス供給各社に対し値下げ交渉を試みました。結果、各社は同様に値下げには応じられないとの回答に終始されたとの報告を受けました。

約一年間にわたり値下げ交渉を行ったが、これ以上の値下げ交渉による進展はないものと判断により協会スタッフが現地訪問し、石巻市仮設住宅全体のガス料金適正化に向けた打開策として、他県からLPガス事業者を参入する働きかけを行い、業者間の競争環境を創り出す方策で協議を行った。そして、H25.8/中旬 石巻管内の仮設住宅に、保安・即応体制も完備したうえで適正料金での供給が確約出来るLPガス事業者H社(本社・神奈川県)を選定した。

H25.9 協会代表が自治連合推進会を訪問。入居者全員の同意を得た数百世帯を対象に、高い料金設定の業者を対象に業者変更手続きの準備を行ない、同日、仮設住宅占有者でもある宮城県庁担当部署を訪問し、今までの交渉経緯を説明する。県側では被災者の意思を尊重するとの見解により実質同意を得る。

H25.10 新しいH社で業者変更を希望する世帯の工事日(10/29)が決定する。

とりわけ、極めて高い料金設定業者に対して優先的に変更手続きを断行する。

※H社:基本料金1.000円 単価@380円全世帯一律料金で、以降値上げは行なわないとの確約書(念書)を添えた契約での供給条件になる。団地によっては、ガス代が毎月半額になる。

さっそく、㎥単価@800円以上の対象業者(I社)から切り替え断行手続きを行ったが、その過程でI社の責任者が自治連合推進会に複数の地元ガス事業者を従えて訪問。業者変更を考え直してもらえる様、陳情を行う。一年間にわたる値下げ交渉を、頑なに拒否し続けた地元LPガス販売各社が、H社と同じ料金で供給することにしたとの今までの姿勢を一転した不条理な説明であった。

当然、競争環境を導入させるため自治連合会では拒否の姿勢を貫く。

H25.11 異常に高い料金設定の仮設団地を優先的に、とりわけ200世帯を対象に業者切り替えを断行した。

H25.11 複数の新聞社に、切り替え対象以外の世帯についても、地元ガス事業者から「値下げに応じた」との記事が掲載される。
■読売新聞(宮城版) 2013年11月13日掲載
■河北新報 2013年11月16日掲載
※単価@380円にするとの値下げの通知が、各ガス事業者から出されました。

宮城県石巻市管内全8.000世帯を対象に、適正化への道筋が可能となったこの活動は、今後、宮城県内のLPガス業界にも波紋が及ぶものと思料される。とりわけ、値下げに同意しない対象業者については今後も業者変更の選択権(業者間競争環境の確立)を仮設入居者が得たという事実については非常に大きな収穫となり、残る7.500世帯についても順次、値下げに同意させる競争環境を創り上げたといえます。

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