プロパンガスには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?都市部で育った方は、LPガスとも呼ばれるプロパンガスの存在自体を知らないという方もいるでしょう。
プロパンガスと都市ガスは同じガス燃料ではあるものの、比較するとさまざまな違いを持っています。
そこで今回は、都市ガスとの違いも含めてプロパンガスのメリット・デメリットをご紹介。
プロパンガスと都市ガスのどちらを自宅に導入するべきか迷っている方、プロパンガスの料金見直しを予定している方はぜひご参考ください。
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LPガスの使用メリット
自宅にプロパンガスを導入すると、以下のようなメリットを得られます。
可搬性が高い
プロパンガスのメリットは可搬性の高さです。圧力をかければ容易に液化して体積を小さくすることができるため、ガスボンベに入れて運べる性質があります。一方、都市ガスはマイナス162℃まで冷やさないと液化ができない性質です。
低温での管理が難しいため、地下に埋設されたガス導管を通じた供給方法のみとなってしまいます。これらのことからも、プロパンガスはガス導管が普及されていない地域でも、熱源として簡単に利用することが可能です。
熱量が高い
プロパンガスのメリットは熱量の高さです。プロパンガスは1㎥あたり約24,000kcal、都市ガスは1㎥あたり約11,000kcalの熱量と約2倍の差があります。同じ炎の大きさで料理などをする場合、ガスの量が都市ガスの半分ほどで済む計算です。
ただし、火力の強さが2倍と考えられるのは同じガス器具を使った場合に限られます。プロパンガスと都市ガスはガス器具自体が違うため、一般家庭向けの設備では火力の違いはあまり感じられないものとなっています。
災害に強い
災害に強いこともプロパンガスのメリットです。プロパンガスを自宅に導入した場合、震度5以上の揺れを感知するとガスが遮断される装置つきのメーターが設置されます。
大地震が起きてもガスの遮断が正常に行われれば、自宅が二次的な火災に巻き込まれることを防げるというわけです。
また、プロパンガスは戸別の供給となるため、地下に埋設された都市ガスよりも災害による復旧が早い面もあります。
2011年3月11日に発生した東日本大震災で被災した県では、都市ガスの全面復旧は5月3日だったのに対し、プロパンガスは4月21日と約2週間ほど早い結果となりました。
二酸化炭素排出量が少ない
政府はカーボンニュートラルを提唱しているものの、日本ではまだ馴染みの少ない人も多いでしょう。そんななか、プロパンガスは二酸化炭素排出量の少ないエネルギー資源のひとつとして注目されています。
ガス使用によって発生してしまう二酸化炭素は、地球温暖化の大きな原因です。環境に優しいプロパンガスの使用は、脱炭素社会への取り組みに役立つとされています。
導入時の初期費用が抑えられる
導入時の費用が都市ガスに比べて抑えられるのも、プロパンガスのメリットです。都市ガスの引き込み工事は約15万円ほどかかるとされています。
敷地の前面道路にガス管が埋設されていない場合はガス本管費用が必要となるため、さらに予算が必要です。それに比べて、プロパンガスを導入する際は実質的に初期費用がかからないシステムとなっています。
ガスコンロや給湯器の設置にかかる料金を無料にして、取り入れやすくする無償貸与契約という業界独自の慣習です。
ただし、無償貸与契約は実質的な無料とは意味が違い、契約期間のなかで少しずつガス料金に含めるかたちで後払いしていくスタイルです。10~15年の契約期間があり、途中解約すると違約金を支払うペナルティがあるため慎重な契約が求められます。
設備の無料貸与が受けられる可能性がある
プロパンガスのメリットは、賃貸物件を新築する際に設備の無料貸与が受けられる可能性があることです。導入費用だけでなく、インターホンやエアコン、ガスコンロまでが無料貸与されるというものです。
ただし、こちらも前項で解説した無償貸与契約と同じもので、支払いはオーナーではなく賃貸物件を借りている人になります。
ガス料金が高くなりクレームの原因になることから、経済産業省は設備の上乗せ禁止の方針を固めており、今後はあくまで可能性にとどまるでしょう。
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LPガスの使用デメリット
多くのメリットを得られるプロパンガスですが、もちろんデメリットも存在します。
ガス代が高い
プロパンガスのデメリットは、なんといってもガス料金の高さです。都市ガスと比較すると、1.5~2倍ほど高い料金となっています。これは2017年4月まで公共料金だった都市ガスと違って、プロパンガスは元から自由料金だったためです。
プロパンガス料金は、「支払い料金=基本料金 + 従量単価×使用量 」の計算式で算出します。基本料金や従量単価はガス会社の言い値です。そのため、消費者からは不透明な料金設定となっている実態があります。
料金公開が義務ではない
プロパンガス代の高さは自由料金制であることに加えて、業界内で価格競争が働いていないことも大きな一因でした。なぜ価格競争が働いていないかというと、ガス料金の公開が義務化されていなかったためです。
2017年2月から、政府が取引適正化のため標準的な料金メニューを広く公表することを事業者に求めています。ただし、公開が義務化されているわけではないため、料金設定はまだ不透明な部分の多いこともデメリットです。
ガス供給にコストがかかる
プロパンガスのデメリットは、ガス供給にコストがかかることです。各家庭にガスボンベで配送する供給方法であるプロパンガスは、ガソリン代や人件費などのコストが必要となります。
都市ガスは導入時に高い初期費用を支払いますが、地下のガス導管を伝って供給されるため配送にかかる人件費などはかかりません。プロパンガスは自由料金であることに加えて配送コストもプラスされ、より高額な請求金額となってしまいます。
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LPガスと都市ガスの違い
プロパンガスのメリット・デメリットを踏まえて、「LPガスと都市ガスの違い」を解説していきます。
供給方法
LPガスと都市ガスの違いは供給方法です。液化しやすいプロパンガスは、ガスボンベで各家庭に軽トラックで配送されます。配送時は在宅する必要はなく、敷地内でガス会社のスタッフがガスボンベの交換作業をして完了です。
都市ガスは、地下に埋め込まれたガス導管を通じて供給されます。工場のガスタンクから供給所を経由して、低圧化されたガスが各家庭に運ばれる仕組みです。
原料
LPガスと都市ガスの原料の違いは、以下の表の通りです。ぜひ参考にしてみてください。
都市ガス | LPガス | |
原料 | メタンが主成分 | プロパン・ブタンが主成分 |
原料の特徴 | ・-162℃まで冷却すると液化する(体積は600分の1になる)・無色無臭のため着臭してガス漏れ時にすぐわかるようにしている | ・-42℃まで冷却もしくは圧力をかけると液化する(体積は250分の1になる)・無色無臭のため着臭してガス漏れ時にすぐわかるようにしている |
発熱量・火力
LPガスと都市ガスの発熱量・火力の違いは、以下の表の通りです。発熱量の高いLPガスは火力が高いと思われがちですが、ガス器具によって同じぐらいの火力になるよう調整されているといわれています。
熱量が高くても料金までもが高いため、結果的に都市ガスのほうが安く使用できてしまうことが現実です。
都市ガス | LPガス | |
発熱量 | 1㎥あたり約11,000kcal | 1㎥あたり約24,000kcal |
火力 | 発熱量の差はあるものの、ガス器具で同じ量に調整されるため火力は変わらないとされている |
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LPガスの相談は「プロパンガス料金適正化協会」
プロパンガスのメリット・デメリット、都市ガスとの違いについて詳しくご紹介しました。しかし、どちらを導入すればよいかはお住まいの地域やニーズによっても判断が変わってきます。
選択に迷うときは、「プロパンガス料金適正化協会」でLPガスの専門家に無料相談するのがおすすめです。プロパンガス料金の透明化を使命とした消費者保護団体である当協会では、ガス会社の紹介やLPガスについての悩み相談などを行っています。
プロパンガスと都市ガスのどちらを導入するべきか迷っている方、料金の見直しをしたい方は、ぜひLINEや電話でお問い合わせください。
まとめ
可搬性が高いプロパンガスは、都市ガスが普及していないエリアの熱源としておすすめです。料金の安い都市ガスは、都市部にお住まいの方が導入しやすいでしょう。個々のニーズに合わせて、メリットの多いガス燃料を選んでいきましょう。