液化石油ガス法は正式名称を「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」と呼び、この法律ができた背景には、2016年に電力・2017年に都市ガスの小売事業が自由化されたことがあります。
これにより各小売り事業が自由に電気やガス料金を設定して価格・サービスを競争し、より消費者が自分の使うエネルギーを選択しやすくなりました。しかし、明確なルールが設定されなければ正しい選択ができない可能性が考えられます。
液化石油ガス法はガスエネルギーの安全性を確保するだけでなく、消費者がガス会社の選定をしやすくするために存在するのです。
今回は、液化石油ガス法についてご紹介いたします。
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液化石油ガス法とは
まずは液化石油ガス法で定められている内容について分かりやすく説明しましょう。
3つの目的「災害・取引・福祉」
液化石油ガス法は「災害・取引・福祉」の3つの目的を持って作られました。
災害防止する
液化石油ガスは管理を誤ることで大きな災害につながる恐れのあるエネルギーです。
液化石油ガス法では災害の発生を防止するために取り組むべき事柄・災害の発生の恐れが認められるときに行うべき措置についてまとめられています。
適正な取引を行う
消費者が正しくガス会社を選択できるために、ガス取引の適正化を目的とした取り組みを明らかにしています。
これまで分かりにくかったプロパンガスのガス料金についても透明性を持たせ、消費者が自分でガスエネルギーを選択できるようにしているのです。
公共の福祉を増進
公共の福祉とは日本国憲法第12条・13条・22条・29条に規定された人権の制約原理のことを指しています。
具体的には「他の人の人権との衝突を調整するための原理」のことで、消費者はもちろんガス会社も、憲法で保障されている自由や権利を濫用してはいけません。
公共の福祉の増進によって社会全体がより良いものになるのです。
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液化石油ガス法の料金改正
冒頭でもお伝えしたように、都市ガスは2017年に自由化されましたがプロパンガスは以前からプロパンガス会社が自由に料金を設定できました。
そのため不当な値上げや適正価格以上のガス料金が請求されることも多く、消費者にとって良くない状況が続いていたのです。
ここでは、液化石油ガス法で定められたガス料金についての項目についてまとめました。
料金メニューの公表
通常何らかのサービスを選ぶ時には料金メニューを比較するものですが、これまでガス会社は料金メニューを提示する義務がありませんでした。
そのため料金の比較・確認が行いにくく、プロパンガス会社の中には家庭によってガス料金を変えるなど、ガス料金が不透明な状態が許されていたのです。
液化石油ガス法によって、ガス会社は標準的な料金メニューを自社ホームページなどで公表しなくてはいけなくなりました。
料金の透明化
賃貸住宅でプロパンガスを使用する時には、その料金設定や契約内容が分かりにくいというトラブルが多発していました。不動産会社にガス料金を問い合わせても明確な返答が得られないという事例が多かったのです。
現在では賃貸契約前にガス会社に自ら問い合わせ、契約内容や料金設定について確認可能で、その内容に納得できなかった時には契約自体を見直せるようになりました。
検針票の記載
これまでプロパンガス会社の中には顧客に分かりにくいもしくは料金・従量単価を記載していない検針票を作成していた会社もありますが、液化石油ガス法では基本料金・従量単価の記載をガス会社に義務付けています。
値上げ通知
消費者に通知せず不当にガス料金を値上げするようなことを防ぐため、ガス代を値上げする際には1ヶ月前までにその事実を通知する必要があります。
値上げに疑問を感じた時には、消費者がガス会社への問い合わせや契約の見直しを検討できるようになったのです。
算定根拠の立証
これまではガス料金の算定根拠が明らかにされない会社が多かったものの、液化石油ガス法によってガス料金の算定根拠を立証しなくてはいけなくなりました。
消費者はガス料金について理解を深められると言えるでしょう。
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液化石油ガス法による書面交付
ガス会社は消費者と契約を締結した際に、定められた項目を記載した書面を交付しなくてはいけません。
また、その記載内容に変更があった時には、その変更された書面を工夫する義務もあります。
第十四条
液化石油ガス法では交付した書面の変更部分に該当する内容について、次のように記載しています。
記載内容の変更にある該当部分
一 液化石油ガスの種類
二 液化石油ガスの引渡しの方法
三 供給設備及び消費設備の管理の方法
四 第二十七条第一項第二号に規定する調査の方法及び同項第三号に規定する周知の方法
五 当該一般消費者等について第二十七条第一項各号に掲げる業務を行う第二十九条第一項の認定を受けた者の氏名又は名称
六 前各号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項
液化石油ガス法の問題点(改正前)
液化石油ガス法は2017年に改正され今の内容になりました。
ここでは改正前の液化石油ガス法に存在した問題点が引き起こした事例について説明しましょう。
新築物件による契約ガス会社の不透明さ
プロパンガスを使用する新築賃貸アパートに入居を決め、物件の契約時に仲介業者にプロパンガス会社や料金について聞いてみたものの、明確な回答が得られませんでした。
ガスの開栓の際に直接聞くように言われたのですが、開栓担当者から情報を得ることもできず、そのままになってしまったのです。
いざガス料金が請求されると、以前のアパートで使用していたプロパンガスの料金の倍以上になり、値段交渉をしても相手にされません。
契約前にこの事実が分かっていれば、この物件は避けたと思います。
設置機器等の費用転嫁
テレビなどの家電製品が備え付けられている築浅のアパートに入居しましたが、1ヶ月目のプロパンガス料金が非常に高額で驚き、すぐにガス会社に問い合わせをしました。
すると、ガス会社がアパートに施工した配管工事・給湯器・エアコンの費用をガス料金で償却していると説明を受けたのです。
アパート建築時に大家さんが抑えた設備費を入居者が負担する形になることに納得できないものの、値下げ交渉は受け付けてもらえませんでした。
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液化石油ガス法による大家への注意点
液化石油ガス法が制定・改正されたことにより、アパートやマンションなどの物件を所有する大家さんは、入居者とのトラブルを予防するために次のような点に注意しなくてはいけません。
ガスの料金形態を正しく把握する
物件のガス契約をしっかり把握し、入居者に対して適切な説明ができるようにしてください。
特に物件建築時にガス会社にガス機器やエアコンなどの設置を無料で実施してもらった上で、その費用をガス料金で償却する契約を結んでいるのなら、十分な説明だけでなく書面の用意も必要でしょう。
LPガスの料金相談は「プロパンガス料金適正化協会」
プロパンガス料金が高くて困っている、どうにかならないかと悩んでいる方は、「プロパンガス料金適正化協会」までぜひご相談ください。当協会は、プロパンガス販売市場において「透明性のある市場システムの形成」を目指して活動している団体です。
当協会の専門家がLPガス業者との交渉方法、契約の見直しなどについて丁寧にサポートいたします。無料相談の申込みはラインやフリーダイヤルから受け付けているので、ぜひ気軽にお問い合わせください。
まとめ
液化石油ガス法について、分かりやすく説明しました。液化石油ガス法は消費者が安全かつ適正にガスを使用するために作られました。
しかし、この法律を知らなければ悪質なガス会社と契約を結んでしまう恐れがあります。これからガス会社を選定しようと考えているのなら、液化石油ガス法について理解を深めるべきでしょう。