プロパンガススキームとは【改正内容の詳細】罰則・オーナーへの影響をわかりやすく解説

プロパンガススキームによる設備上乗せ禁止は、2024年夏ごろから本格的に施行される予定です。アパートや店舗などの賃貸物件オーナーは、プロパンガススキーム規制の影響を直に受けることが予想されるでしょう。

この記事では、プロパンガススキームの法改正による影響や罰則内容など、賃貸物件オーナーに向けてわかりやすくご紹介していきます。

プロパンガススキームの設備上乗せ禁止が施行されるとどうなるのか、今後どうしていくべきなのか、心配している方はぜひご参考ください。

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目次

プロパンガススキームとは

プロパンガススキームとは、プロパンガス業界において長い間見過ごされてきた商慣習のことを指します。ガス業者が自社と契約を交わした賃貸物件オーナーに対して行われるガス関連機器および設備の無償貸与契約です。

無償貸与契約で設備にかかった料金を上乗せされるのは、賃貸物件の入居者となります。設備上乗せの分まで支払うことは、入居者本人に対して説明されることはありません

ビジネス用語のscheme(スキーム)には、「枠組み」や「図式」という意味があります。良い意味でも悪い意味でも使われる言葉とあって、プロパンガスに関係のない住宅設備の料金上乗せがまかり通っている現状を上手く表現したネーミングとなっています。

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プロパンガススキームの問題点

では、プロパンガススキームにおける問題点を深堀りしていきましょう。

自由料金制の採用

プロパンガススキームの問題点は、プロパンガス会社が自由料金制を不透明な形で採用していることにあります。自由料金制とは、販売ビジネスにおいて企業が自由に料金を設定できるシステムです。一見、何も問題がないようにも思えるでしょう。

しかし、プロパンガス業界では自由料金制であることを盾にして、高額なガス料金を消費者に請求している現状があります。

プロパンガスの原料は海外からの輸入がほとんど。供給方法も配送コストがかかるボンベ供給なので、理由をつければ不透明な値上げが何度も成立してしまいます。

今後は、透明性の高い自由料金制での徴収が望まれていくでしょう。

料金上乗せで利益の黒字化

賃貸物件のオーナーが料金上乗せで利益の黒字化が図れてしまうことも、プロパンガススキームの問題点です。賃貸物件オーナーからすれば、魅力ある物件を建てるには多額な資金が必要となります。

ガス業者がガス機器や住宅設備を無償貸与するという形で、賃貸物件オーナーは費用をかけずに建設・修繕できるようになるというわけです。契約が一度にたくさん取れる賃貸物件オーナーは、LPガス業者からするとぜひとも契約したい大口のお客様。

無償貸与といっても自由料金制を不透明な形で活用してしまえば、自分たちも黒字で賃貸物件のオーナーとWin-Winな関係さえ構築できてしまいます。

入居者からすると、設備上乗せでLPガス料金が高くなっていることは引っ越し後にしかわかりません。選択の余地がなく支払うしかない現状は、消費者の権利を不当に奪っているといえるでしょう。

なぜ設備料金が上乗せされていたのか?

基本料金と使用ガス量のみの二部料金制でLPガスの請求書を作れてしまうからです。設備上乗せにかかっている金額を個別に記載せず、基本料金に含むあやふやな形で請求しても何ら問題はないというのが現状です。

プロパンガス業者が賃貸物件オーナーから契約を取るためといった側面もあるでしょう。おかげで賃貸物件オーナーは建設や修繕費用の節約、家賃を安く見せられる二重のメリットを受けられます。

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プロパンガススキームの法改正

ガス業者と賃貸物件オーナーによる取引のツケを支払わされるのは、選択の機会すらない入居者です。プロパンガススキームは長年見過ごされてきた商慣習ですが、国によってやっと是正されることになります。

プロパンガススキーム禁止の詳しい実施時期や改正内容、改正後にどう変わるのかを解説していきましょう。

実施時期

プロパンガススキーム禁止は2024年夏頃から段階的に施行される予定です。当初の改正法施行の年度であった2027年を目途に、プロパンガススキーム撤廃や業界の一新を目指していきます。

改正内容

プロパンガススキームの改正内容は以下のとおりです。プロパンガススキームによる設備上乗せの実質的な撤廃となります。国からのメスがかなり鋭く入った法改正といえそうです。

施行時期改正の内容
2024年夏頃過大な営業行為の制限(ガス料金に関係のない無償貸与契約の禁止)
2025年春基本料金・従量料金・設備費用の外出し表示の三部料金制への徹底
2027年を目途に検討今後は新規の貸付配管を行わない方向

改正後にどう変わる?

プロパンガススキーム禁止が施行されると設備にかかる料金表示が義務となります。消費者に対するプロパンガス料金の透明化が請求書によってはっきりと証明されるでしょう。設備費用の外だし表示といってもガス料金に関係ないものは計上不可となります。

また、過大な営業行為にも制限がかかります。これまでのように、LPガス業者からの設備無償貸与を当てにした賃貸物件の経営は大きく方針転換を迫られることは必須です。

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プロパンガススキームによる罰則内容

今後、プロパンガススキームの禁止が施行されても、さまざまなルートで「法の抜け穴」が見つかってしまうことも想定されます。不正防止として設定されたのが、違反者への厳しい罰則です。

法改正に従わない、違反行為が発覚したLPガス業者には登録取り消しや罰金などが科されます。また、2023年12月から経済産業省によって「LPガス商慣行通報フォーム」も開設されました。

通報による監視体制を構築し、場合によってはLPガス業者への立ち入り検査やヒアリングが行われます。

【オーナー向け】プロパンガススキームへの影響

プロパンガススキーム禁止による賃貸物件オーナーへの影響は以下が想定されます。

設備導入費を負担しなければならない

プロパンガススキーム禁止による賃貸物件オーナーへの影響は、無償貸与契約の未償却分が無効になるかもしれないことです。三部料金制が徹底されると、ガス料金に関係のない計上ができなくなります。

これまでのように入居者から設備上乗せとして徴収することが難しくなるというわけです。今後はリース契約にして入居者から徴収するなどの方法も考えられますが、場合によっては賃貸物件オーナーが設備導入費を負担しなければならない可能性も強まるでしょう。

家賃の見直しが必要となる

無償貸与契約の未償却分がオーナーの自腹となった場合、家賃の見直しが必要となることもプロパンガススキーム禁止による影響です。これまでLPガス料金に設備上乗せしていた金額を家賃に含めて徴収する方法を検討できます。

しかし、家賃を上げるとなるとこれまで設備上乗せをしていたことに疑念を持たれてしまうため、入居者からのクレームや問い合わせは避けられないでしょう。

入居者集めへのハードルが下がる

プロパンガススキーム禁止による賃貸物件オーナーへの影響は、ネガティブなものばかりではありません。設備上乗せ禁止によって、LPガス料金の透明性が高くなります。そのため、入居者集めへのハードル低下が予想されるでしょう。

これまでは、料金の高いプロパンガス物件を避け、安い都市ガス物件のみに限定して住まいを探す人がたくさんいました。しかし、透明性の高い料金設定に変化したプロパンガス物件を住まいの候補とする人が増加すると考えられます。

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LPガスに関する相談は「プロパンガス料金適正化協会」

プロパンガススキームの是正による設備上乗せ禁止は、賃貸物件オーナーの経営スタイルに一石を投じることになるでしょう。これからどうしていくべきなのか迷っている賃貸物件オーナーは、「プロパンガス料金適正化協会」へぜひお問い合わせください。

LINEやフリーダイヤルからLPガス専門家による無料相談を承っています。LPガスに関する相談や優秀なガス業者の紹介など、消費者保護団体の当協会から必要なサポートを受けつつより良い経営体制の構築を図っていきましょう。

まとめ

プロパンガススキームの是正による設備上乗せ禁止で、影響を受ける賃貸物件オーナーはたくさん出てくるはずです。しかし、ネガティブな影響ばかりではないため、困ったことがあれば解決できる部分から着手していきましょう。

LPガスに関する相談をしたい方は、ぜひプロパンガス料金適正化協会におまかせください。LPガスの専門家だからこそできるアドバイスやサポートで、プロパンガススキームの法改正を乗り越えていきましょう。

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